私はある土曜日、パソコンの画面越しに中学時代からの親しい友人2人と夕飯をいっしょに食べる、いわゆる〈リモート飲み〉をしていた。「韓国?ああ、そうね、2年前だったわよね。あんたが明洞で迷子になったのよね」「あぁ、そうだったわね!あの時のあんたの顔ったら、半泣きだったわよね」「あれは、私が飲み物を買ってたのに、ふたりがおいてったんでしょう!?」私のむくれる顔を見た友人たちはケラケラと声を上げて笑う。「で、梨と韓国に何の繋がりがあるの?」地元で暮らしている友人が子どもの口元についたケチャップソースを拭きながら言った。「今ね、近隣のアジア諸国の梨事情を調べてるの」私は昨晩の残り物のカレーを口へ運びながら答えた。「梨って、アジアでも流通してんのね」海外暮らしをしている友人がワインを飲みながら首を傾げた。「うん、そうなの。私も意外だったんだけど韓国や中国でも人気の果物みたいなの」韓国梨は和梨に近いという特徴を持っており、シャキシャキとした食感と瑞々しさを持ち合わせ、控えめな甘さが人気を呼んでいる。また、韓国梨の主要品種に、日本原産の新高や、新高と二十世紀梨を交配した黄金梨(ファングムペ)がある。韓国での梨の用いられ方は日本とは若干異なっている。砂糖の普及が日本よりも遅かったという社会的背景がある韓国では、砂糖の代替として梨の甘みが重宝されてきたのだ。また、冷麺のトッピングとして使われることもしばしばで、スープの旨味を引き立てる役割を担っている。さらに、肉料理と組み合わされることもあり、整腸作用を促す目的としてタンパク質と組み合わされることがある。また、アルコールを分解させる酵素と水溶性食物繊維が多く含まれていることから、肉料理とアルコールを一緒に摂取する際に最適な果物として重宝されている。中国でも梨は栽培され流通している。中国梨はぱっと見は洋梨の様なフォルムをしているが、食感は和梨に似ていてシャリシャリとした食べ応えのあるのが特徴だ。和梨同様、ジューシーで芳香際立つ梨であると言われている。紀元前150年という果てしない過去へ遡ると、中国では数種類の梨が既に栽培されていたとされている。2大有名中国梨として「慈梨(ツーリー)」と「鴨梨(ヤーリー)」があり、中国梨として人気が高い。日本での中国梨の流通は和梨や西洋梨に比べ少なく、目にする機会もほとんどないのが現状だ。「また一緒に旅行したいわね」私たちのリモート飲みの時間は楽しく過ぎて行った。アジアの梨事情|韓国と中国の食文化に根付く果物梨といえば日本の和梨を思い浮かべる人が多いですが、韓国や中国でも独自の梨文化が根付いています。それぞれの国で栽培される品種や食べ方には特徴があり、日本の梨文化と比べると異なる魅力が見えてきます。ここでは韓国と中国の梨と食文化について整理してみましょう。韓国の梨文化韓国梨は和梨に近いシャキシャキとした食感とみずみずしさが特徴です。代表的な品種には日本原産の新高梨や、新高と二十世紀を掛け合わせた黄金梨(ファングムペ)があります。韓国では果物としてそのまま食べるだけでなく、冷麺のトッピングや肉料理の下味としても活用されます。砂糖の普及が遅かった歴史的背景から、甘味料の代わりに梨の自然な甘みが重宝されてきました。また、梨に含まれる酵素や食物繊維はアルコール分解や整腸を助けるとされ、宴席の定番果物としても親しまれています。中国の梨文化中国梨は洋梨に似たフォルムを持つものが多いですが、食感は和梨に近く、ジューシーで芳醇な香りが特徴です。代表的な品種には「慈梨(ツーリー)」や「鴨梨(ヤーリー)」があり、紀元前から栽培されてきた歴史のある果物です。中国では梨が薬膳や養生の食材としても扱われ、体調管理やのどの渇きを癒す果物として古くから利用されてきました。長い歴史の中で生活に寄り添い続けた梨は、今も多くの地域で親しまれています。日本との違いと共通点韓国や中国では、梨は「果物以上の役割」を担ってきました。料理や健康の一部として活用される点が大きな特徴です。一方、日本では冷やしてそのまま食べる楽しみ方が主流です。同じ梨でも国ごとに文化や用途が異なり、その多様性が梨という果物の奥深さを物語っています。まとめ韓国や中国の梨文化を知ることで、私たちが普段食べている梨の新しい魅力が見えてきます。梨は国や地域ごとに異なる食べ方や役割を持ち、それぞれの食文化に根付いてきました。日本の梨と食べ比べてみることで、果物としての多彩な魅力をより深く味わうことができるでしょう。第二十話:ドライ梨の食べ方(ケーキ屋タルト編)