ある休日私は実家から送られてきたリンゴを使いジャムを作ることにした。砂糖とレモンを用意し、鍋の中にカットしたリンゴを入れた。その時一口サイズに切ったリンゴを見て、ふと思った。「リンゴは皮ごと食べられるけど、梨の皮って食べられるのかしら……?」リンゴがことこと煮え始める様子を観察しながら、頭の中にはざらざらとした梨の表皮を指先で撫でた時の感覚が蘇っていた。気になることが見つかると、すぐに調べて疑問を解消したい欲の強い私は、リンゴジャムが出来上がるまでの間、梨の皮に焦点を当てて調べることにした。タブレットを開き調べること10分。「そうなんだ!」私は思わず声を上げた。梨の皮は私がこれまでそうだったように多くの場合、食べずに捨てられてしまうケースがほとんどだが、リンゴ同様食べても問題ない。梨の果肉には様々な栄養素が含まれているが、果肉以外の皮周辺にも栄養素が含まれているのだそうだ。では梨の皮にどんな栄養素が含まれているのか?まず、人の体に必要なミネラルの一種とされているカリウムだ。カリウムは塩分の排出を促す作用がある。塩分過多の人には嬉しい要素だ。そして次に注目したいのがポリフェノールだ。これは酸化を抑える抗酸化物質だ。老化や生活習慣病を予防、改善してくれるとされている。そして、次に注目したいのが食物繊維だ。整腸作用があるため便通が良くなり、第6の栄養素と言われている。その他にもビタミンB1やB6、ナイアシンなどのビタミンB群や、ソルビトール、疲労回復に有効なアスパラギン酸が含まれている。栄養素を効率よく摂取できることが梨を皮ごと食べる最大のメリットだ。そして意外なことに、梨を皮つきで食べる方が皮無しで食べるよりも甘みを感じやすいと言われている。では実際にどうやって食べれば良いのだろう?切り方にもポイントがある。美味しく食べるコツは梨をスティック状にカットすることだ。梨を食べやすいサイズにスライスし、スティック状になるよう縦にカットする。最後に種や芯を取り除いたら梨スティックの完成だ。最後に、もう一手間かけることで各段に美味しくなる梨の食べ方がある。これは梨の皮の舌触りがどうしても気になるという人向けの方法だ。それは皮ごと梨のコンポートにするというやり方だ。材料は梨1個から2個、水200cc、白ワイン200cc、砂糖80g、レモン、ミント、適量を用意する。梨を芯と種だけ取り除き、適当な大きさにカットする。鍋に水と白ワインと砂糖を入れ煮立てる。そこへ梨を加え中火で20分程度煮込み、梨が透明になったら火を止める。レモンを加えて軽く混ぜ粗熱を取ったら完成だ。最後に冷蔵庫でしっかり冷やし、ミントを添えたら本格梨スイーツの完成だ。「わぁ……梨早く食べたーい!」私は今年ももうすぐやって来る梨の季節を心待ちにしている。梨の皮は食べられる?梨の皮は果肉と同様に食べられます。一般的には剥いて食べることが多いですが、食感さえ気にならなければ問題なく食用可能です。むしろ皮には栄養が凝縮されているため、健康志向の人には「皮ごと梨」を推奨する専門家もいます。また、栽培方法によっては農薬も付着しているので気になる方は剥いて食べましょう。梨の皮に含まれる栄養素カリウム:体内の余分な塩分を排出し、高血圧予防やむくみ改善に効果的。ポリフェノール:抗酸化作用を持ち、老化防止や生活習慣病予防に役立つ。食物繊維:腸内環境を整え、便秘解消をサポート。ビタミンB群(B1・B6・ナイアシン):代謝を助け、疲労回復やエネルギー生成に関与。ソルビトール:糖アルコールの一種で、整腸作用がある。アスパラギン酸:疲労回復やスタミナ向上に効果があるとされる。皮を捨てずに食べることで、果肉だけでは摂れない栄養素を効率的に取り入れることができます。参照:デリッシュキッチン「梨の皮は食べても平気?皮ごと食べるメリットをご紹介」(参照日:2025/08/23)、https://delishkitchen.tv/articles/2735#contents3美味しく食べる方法スティックカット:皮ごとスティック状に切ると、歯ごたえが心地よく皮の存在感が和らぎます。コンポート:白ワインや砂糖で煮込むことで、皮のざらつきが和らぎ、スイーツ感覚で楽しめます。スムージー:皮ごとミキサーにかければ栄養をまるごと摂取可能。注意点農薬や汚れが気になる場合は、流水で丁寧にこすり洗いしてから食べること。皮の食感が苦手な場合は加熱調理(コンポート・ジャム)で取り入れるのがおすすめ。まとめ梨の皮はこれまで剥いて捨ててしまうことが多かった部分ですが、実は栄養価が高く、工夫次第で美味しく食べられます。カリウムやポリフェノールなどの栄養素を効率的に摂取できるだけでなく、皮ごと食べることで甘みを強く感じられるという利点もあります。スティック状にカットしてそのまま食べたり、コンポートにして楽しむなど、生活に合った方法で「皮ごと梨」を取り入れてみてはいかがでしょうか。第十五話:梨の栄養について