先日買ってきたラ・フランスを3週間かけて追熟するにあたり、私は和梨の保存方法についても詳しくなっていた。毎年友人から送ってもらう幸水梨をそのまま冷蔵庫に入れ、特になにも工夫をせず保管し1週間以内に食べきっていただけだった私は、梨に適した保存方法や鮮度を保つ術があることを知り、友人に対して申し訳ない気持ちになった。「アハハ、いいわよそんなこと気にしなくて。あんたが面倒くさがり屋だって知ってるもの。それに1週間以内に食べきれる量しか送ってないし」スピーカーフォンにしたスマホから友人の無邪気な話し声が響く。「ラ・フランスの追熟にまだ時間がかかるから、その間に他の梨を食べようと思って買ってきたの」私は仕事帰りに果物屋さんで買ってきた6個の梨をダイニングテーブルの上に並べ、キッチンペーパーとチャックの付いたポリ袋を用意した。梨は買ってきてから数日で食べきるのが望ましい。その場合、保存場所は冷暗所が適している。しかし、たくさんの梨を新鮮なまま保存する方法もある。和梨は乾燥に弱いため、一玉ずつキッチンペーパーや新聞紙に包んで保存する。それをチャック付きのポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で冷蔵保存するというのが一般的な梨の保存方法だ。また、冷蔵保存した梨を消費する際にも適した順番があり、熟している和梨の見分け方に沿って消費したいところだ。「豊水」などの赤梨と呼ばれる品種は、通常果皮が緑色をしているが、熟すにつれて赤みが強くなってくる。それが食べ頃のサインだ。一方、「二十世紀」などの青梨は黄色がかったものから食べるのが良いとされている。さらに、梨には表皮のざらつきにも熟し度合いによって差がある。熟してくると表皮はざらつきが弱くなってくるのが特徴だ。また、梨を箱で入手した場合は冷凍保存するという手もある。梨の皮を剥き、くし形にカットする。それをラップに包み保存用袋へ入れて冷凍庫へ。そうすることで梨の鮮度を保つことが出来るが、その反面、解凍した梨はその特有のシャリシャリとした食感が失われてしまう。そこでおすすめなのが、半解凍状態のままシャーベット感覚で味わう方法だ。ひんやりとした食感と梨の香りが口の中に広がり、夏の暑い時期などには暑気払いにもってこいだ。もしくは凍ったままミキサーにかけ梨スムージーにして味わう楽しみ方もある。また、乾燥させ、ドライフルーツにしてしまうという方法もある。噛めば噛むほど味わい増す梨の魅力を、自宅で感じてみるのも一興だ。「梨の魅力は尽きないなぁ」そんな私の独り言が、空中を彷徨いシャボン玉の様に消えた。梨の保存方法まとめ梨は水分量が非常に多く、乾燥や温度変化に弱い果物です。保存方法を工夫することで、美味しさとみずみずしさを長持ちさせることができます。常温保存期間:夏場は1〜2日、秋の涼しい時期でも3〜4日程度を目安に食べましょう。場所:直射日光の当たらない涼しい場所。注意点:高温多湿では劣化が早いため、基本的には短期向き。すぐに食べる場合以外は冷蔵保存が安心です。冷蔵保存梨をより長く楽しみたい場合は冷蔵保存が基本です。乾燥を防ぐことがポイントになります。冬場などで室温が涼しい場合は、冷蔵での保存は不要です。方法:一玉ずつ新聞紙やキッチンペーパーに包む。チャック付きポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存。期間:幸水など早生品種…5〜7日程度豊水・二十世紀など中生品種…1〜2週間程度新高・新興・あたごなど晩成品種…2〜3週間程度熟度の見分け方と食べ頃赤梨(豊水、新高など):果皮の緑色が薄れ、赤みが強くなったら食べ頃。青梨(二十世紀など):緑色から黄色味を帯びてきたら食べ頃。表皮のざらつき:熟すとざらつきが弱まり、滑らかになる。このサインを見極めて順に食べれば、贈答用や箱買いした梨も無駄なく美味しく楽しめます。冷凍保存大量に梨を入手した際は冷凍保存も可能です。手順:皮を剥き、くし形にカット→ラップに包み保存袋に入れて冷凍。注意点:解凍すると食感は失われる。おすすめの食べ方:半解凍でシャーベット感覚に。ミキサーにかけてスムージーに。ドライフルーツ化乾燥させることで甘みが凝縮され、噛むほどに旨味が増す「ドライ梨」に。オーブンや食品乾燥機を使えば家庭でも簡単に作れます。まとめ梨は鮮度が命の果物ですが、適切な保存方法を知れば1週間〜3週間ほど美味しく楽しめます。常温保存は短期間向き、長く楽しむなら冷蔵保存、さらに大量に入手した場合は冷凍やドライフルーツ化も選択肢です。品種ごとの保存性を理解し、食べ頃を見極めながら味わうことで、最後まで梨本来の美味しさを堪能できます。第十四話:梨の皮は捨てるのか?