私が先日書いた「梨と美容効果」に関する原稿が上司から満場一致で採用され、私はホッと胸を撫でおろした。そして校了後の解放感と共に、少し高価な日本酒を自分へのご褒美にした。帰宅後、買ってきた日本酒を飲みながら私は友人に国際電話をかけた。目的は互いの近況を報告し合うことだ。「良かったじゃない。次は何を書くの?」電話口の友人の声はいつも陽気で、こちらまで元気が出てくるから不思議だ。「次も、梨関連の記事でいこうと思ってるんだよね」「へぇ!いいじゃない。あんた昔から梨に目がないものね」私はその時、友人の言葉に改めて自分が「梨好き」であるという自覚を持ったのだった。友人との電話を切り、残った日本酒を明日に飲むことにした私は職場から持ち帰った資料のファイルをパラパラとめくった。「もう少し視野を広く持った方がいいかしら……」私は自分が収集した資料の方向性が、どれも日本国内に目を向けたものだったことに気が付いた。「日本以外の国では梨ってどんなふうに流通してるのかしら」外国の梨事情を調べること数日。色んなことが分かってきた。日本梨の海外流通は主に東アジアを中心として行われている。中でも香港と台湾がそのシェアの大部分を占めているようだ。一方、台湾への輸出量も200トンを超えており、2大輸出先だ。2017年にはベトナムへの輸出が解禁となるなど、世界に向けた日本梨の流通がさらに拡大したといわれている。また、ヨーロッパ諸国ではアルゼンチンやチリから梨を輸出する流れが主流だが、日本からも一部の品種が輸出されている。アメリカでは西洋梨の栽培が盛んに行われており、日本産梨の輸入にも力を入れているため、日本としてもアメリカを梨輸出の重要国と捉えている。梨は和梨、中国梨、洋梨と3種に大別されているが、和梨と中国梨は皮を剥きそのまま食べるやり方が一般的だが、西洋梨は皮ごと食べる品種もあれば、皮を剥いて食べるものもある。海外では洋梨の栽培が主流であることは容易に想像される。洋梨の中でも主流とされる品種は3つある。1つはバートレットと呼ばれる品種で、アメリカ・ヨーロッパで最も一般的とされ親しまれている。もう1つはアンジュと呼ばれる、緑色の表皮をした品種だ。これはサラダやデザートとして重宝されている。最後はボスという果皮が茶色の品種だ。果肉がしっかりしているため、焼き菓子やコンポートに適している。「うーん!まだまだ知らないことばっかりだわ。こりゃ骨が折れそうだ」私はどこかウキウキとした心持ちで資料と向き合っている。世界の梨事情まとめ日本梨の輸出とアジアでの人気和梨はそのみずみずしい食感と甘さから、アジア諸国で非常に高い人気を誇ります。特に香港や台湾などは日本梨の主要な輸出先となっており、贈答用として重宝されるケースが多いです。近年はベトナムや東南アジアの一部でも流通が始まり、和梨は「高品質フルーツ」として現地での存在感を高めています。欧州での流通と南米産梨の存在ヨーロッパ市場では、日本産梨よりも南米からの輸入洋梨が多く出回っています。アルゼンチンやチリなどの国々は季節が逆であるため、年間を通じて梨を供給できる体制が整っており、ヨーロッパの消費を支えているのです。ただし近年は和食やアジア食材への関心が高まり、日本梨を扱う高級スーパーや専門店も少しずつ増えつつあります。アメリカでの梨文化アメリカでは洋梨の栽培が盛んで、バートレット、アンジュ、ボスといった品種が広く親しまれています。これらは生食だけでなく、サラダやスイーツ、焼き菓子にまで幅広く活用されています。一方、日本産の和梨も高級フルーツとして流通しており、アジア系の食材店や都市部のスーパーを中心に人気が拡大しています。食べ方の違いと文化的背景和梨や中国梨は「皮を剥いてそのまま食べる」スタイルが一般的ですが、西洋梨は「収穫後に追熟してから食べる」文化が根付いています。熟成の過程を経て柔らかく甘さを増す西洋梨は、サラダやデザート、焼き菓子にアレンジされることも多く、料理文化との結びつきが強いのが特徴です。一方で和梨は買ってすぐにみずみずしさを楽しめる「即時性」があり、夏から秋にかけての季節感を強く感じさせる果物として愛されています。世界から見た梨の多様性世界には数千種類の梨が存在するといわれています。アジアではシャリシャリとした歯ごたえの和梨や中国梨、欧米では芳醇でとろける洋梨と、地域ごとに全く異なる特徴を持つ果物として発展してきました。日本で日常的に食べられている和梨は、海外では「珍しいフルーツ」として特別視されることもあり、そのみずみずしさは海外の人々に新鮮な驚きを与えています。まとめ梨は地域ごとに育まれた食文化を反映する果物です。アジアでは贈答用や家庭のデザートとして、欧米では料理やお菓子の素材として、それぞれの国で異なる役割を果たしています。和梨、洋梨、中国梨という3つの系統を中心に世界中で楽しまれており、今後さらに輸出が広がることで、日本の和梨がどのように世界の食文化に溶け込んでいくのか注目されています。第十九話:韓国と中国の梨参照:果物ナビ「世界の梨類の産地」(参照日:2025/08/23)、https://www.kudamononavi.com/graph/worlddata/item=pears