二十世紀の日本を代表する果物梨は日本古来の果物。縄文時代の人はナッツでカロリーを摂り、梨で水分を補っていたんだそう。梨は昔懐かしい果物。夏休みはスイカで始まり、お風呂上りに梨を食べる頃にはおしまい。梨は明治・大正・昭和を経て、平成もかじった二十世紀の日本を代表する、果物の一つです。二十世紀に入るまでは赤梨が人気でした。今でいう生産量トップクラスの幸水や豊水が赤梨です。青梨も食べるようになったのは二十世紀はじめ。二十世紀と名の付く青梨はこの頃生まれました。それから梨は赤も青も、色んな品種が改良されて仲間を増やし、甘い赤梨はますます人気者に。二十世紀を騒がした、さっぱり甘酸っぱい青梨は、思い出の味に近いものへとなりつつあります。もしも貴方が二十世紀の梨を懐かしく思っているなら、梨もまた貴方と過ごした夏の終わりを懐かしんで、古い友人のように貴方を想っているかもしれません。梨からの手紙の意味[梨からの手紙]は、果樹園を訪れた誰かが貴方へ届ける、そんな懐かしい友人からのお便り。中には、じっくり低温で乾燥させて便箋に見立てた、青梨のスライスが数枚入っています。ドライ梨の便箋にメッセージはありません。伝えたい想いや近況は、食べれば分かるからです。 酸味のほとんど感じられない、甘くてやわらかい流行りの品種とは異なり、酸味が爽やかで甘さも優しく、サクサク食感のいい青梨は、ドライフルーツにぴったり。糖度が控え目な分、ゆっくり乾燥させることで甘味はどんどん凝縮されて、程よく残る酸味も手伝い、一段と風味豊かに、甘い甘いドライ梨へと生まれ変わります。 しっとり食べ応えのある食感も、みずみずしい日々を過ごした二十世紀が薫るアクセント。一枚ずつ思い出を噛みしめるように味わって読めば、新しいのに懐かしさがこみ上げるはずです。